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高森明勅
2018.3.31 22:00

共同通信の取材など

3月30日。

政府は天皇陛下のご譲位と皇太子殿下の
ご即位に関わる一連の行事
について基本方針を定めた。

これについて、共同通信から取材を受けた。

私は、全体としては概ね評価できる、と述べた。

これは、昭和から平成への御代替わりの際に、
儀礼の在り方について比較的よく検討されており
当時の内閣官房副長官だった石原信雄氏の貢献を
見逃せないだろう
)、それをほぼそのまま踏襲するという
方針が示されたからだ。

前例では、憲法の枠内で皇室の伝統を尊重しつつ、
かつ国民の心情にも配慮を示した。

但し、
「剣璽等承継の儀」に供奉(ぐぶ)する皇族を、
旧「登極令」
のまま男性だけに限定したのは、旧皇室典範から
今の典範への女性皇族の位置付けの変更に照らして
、整合性に
疑問が残る。

それをそのまま踏襲したのは、些(いささ)か首を傾(かし)げる。

一方、大嘗祭の斎行を来年11月の「2番目の卯(う)の日」
に設定したようで、古儀(『令義解』『令集解』等)を重んじる
姿勢が窺える。

記者は、大嘗祭の「違憲性」を争った平成7年の大阪高裁の判決に、
違憲の「疑義は…
否定できない」とあった点についても、質問して
来た。

これに対しては判決の分析
も含めて、少し詳しく解説した。

同日、『北海道新聞』からも追加の取材があった。

それぞれ31日の記事に、
私が喋った内容の一部が載ったはずだ(掲載紙は後日、届く)。

なお、これらの儀式について、かつてこんな事を述べる“識者”
がいた。

「天皇が退位する場合には、退位式というものを行いますが、
この退位式はどのようにするのか…一連の儀式について見直す
ということについても、
数年単位の時間を要するでしょう」
と(八木秀次氏)。

これに対し、私はこれまで、その無知さを繰り返し指摘して来た。

ご譲位に伴う簡素な儀式を新たに付け加えるだけで、
他は前例を根本的に「見直す」必要などなく、殆どそのまま
踏襲すれば良いのだから、大掛かりな作業には“
ならない”のが
自明だったからだ。

どちらの指摘が的を射ていたか。

もはや明らかだろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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